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FLAC vs MP3 ブラインドテスト:聞こえる差はどこで終わるか

FLAC vs MP3 のブラインドテストが必要な理由はひとつだけ。普通の議論では、ファイルにどっちがどっちか最初から書いてある。そこで聞いているのは音ではなく、プレイヤーに出ているラベルだ。ファイル名が隠れて音量がそろった時点で、議論は単純な問いに変わる。いま鳴っているのは二つのうちどっちか、当てられるか。

FLAC と MP3 の普通の言い争いが何も証明しない理由

適当なスレッドを開いてみる。半分はロスレスなら一発で分かると確信している。もう半分は 320 kbps の MP3 は透明だと確信している。しかもどちらも、自分の音楽を、ファイル名とビットレートを先に見ながら聴いている。

期待は聴覚より速く動く。画面に FLAC と出ていれば、脳がシンバルの空気感やベースの深さを勝手に足す。MP3 と出ていれば、同じノイズがコーデックのアーティファクトに変わる。頭が悪いわけでも意志が弱いわけでもない。知覚は誰でもこう動く。

隠れた二番目の要因は音量だ。少し大きく鳴っているほうは、ほぼいつも良く聞こえる。1 dB の差でも評価は動くのに、コーデックはそこに関係していない。だから公平な比較はレベル合わせから始まる。ABXtest は EBU R128 に沿って A と B を同じラウドネスにそろえる。比べるのは圧縮で、音量ではない。

ABX とは何か、どうやってヒントを消すのか

ここでのブラインドにロマンはない。ABX という手順で、信用できるくらい退屈だ。

まず A、つまり同じ断片の一方のバージョンを聴く。次に B、同じ断片のもう一方。次に X。X は裏で A か B のどちらかと同じになっている。やることはひとつ、X がどちらと同じかを答えるだけ。10 点満点の採点もいらないし、音場や空気感の話もいらない。二択だけだ。

そこから階段が始まる。同じビットレートで 2 回続けて正解すると MP3 は難しくなる。ビットレートが上がり、アーティファクトは深く隠れる。2 回外すとその回は終わり。最後に残るのは数字ひとつ。ロスレスとまだ聞き分けられた MP3 の最高ビットレートだ。

ブラインド ABX の流れ

ここでロスレス側に置いてあるのは、MP3 の元になったのと同じマスターの WAV だ。聴感では FLAC と WAV は同じ。どちらも元のサンプルをそのまま持っていて、FLAC はさらに容量節約のために詰めてあるだけ。だからこのテストは、人が FLAC vs MP3 という言葉で聞きたがっている問いにちょうど答える。

フォーマットのロゴよりビットレートが効く

FLAC vs MP3 という言い方そのものが広すぎる。96 kbps の MP3 と 320 kbps の MP3 は別物で、その差は 320 kbps と原音の差より大きい。だからテストは段を踏んで進む。

  • 96 kbps 昔のネットラジオの水準。安いヘッドホンでも普通に分かる。シンバルがざらつき、高域が揺れる。
  • 128 kbps 無料ストリーミングの定番。だいぶ整ってくるが、音数の多い曲では仕掛けがよく見える。
  • 256 kbps 有料の音楽や動画のプランが出しているのはこのあたり。
  • 320 kbps MP3 の上限。ここで正直な耳はたいてい、圧縮と原音を安定して分けられなくなる。

これは耳に渡すメダルでもないし、機材への判決でもない。聞こえる差が自分の場合どこで終わるのか、その地図だ。

自分のヘッドホンで FLAC vs MP3 のブラインドテストをやる手順

他人の DAC の写真は、あなたに差が聞こえるかどうかに答えてくれない。答えるのは自分のセットアップと自分の耳だ。

  1. 静かな部屋に座る。普段音楽を聴いているヘッドホンかスピーカーで。
  2. 音を良くする機能は全部切る。イコライザー、バスブースト、Spatial Audio、ヘッドホンアプリの独自モード。そういう処理は、バージョンの違いが出るちょうどその細部をぼかす。
  3. 音量は落ち着いた、楽な位置に。小さすぎると高域が最初に消えて、テストは無意味に難しくなる。
  4. 設定ページを開いて、何で聴くかを指定してからラウンドを始める。
  5. 考えすぎない。ABX では第一印象のほうが、同じ小節を 5 回巻き戻すより当たる。

自分の FLAC を上げる必要はない。テストの中に組み合わせが用意してある。同じ切り出しから作ったいろいろなビットレートの MP3 と WAV で、ラウドネスはそろえてある。数分で足りる。先にルールを知りたいなら、ラウンドの仕組みは別に書いてある。

ブラウザについては正直に書く。これは bit-perfect 出力の foobar2000 ではない。システムミキサーがサンプリング周波数を変換することもあるし、経路全体をウェブページが握っているわけでもない。普通のヘッドホンで MP3 とロスレスを比べるという問いには、この精度で足りる。DSD や 384 kHz を確かめるには道具が違う。違わないふりをする意味はない。

96 kbps ですら原音とまったく同じに聞こえるなら、原因はたいてい耳ではなく経路にある。その場合はまずキャリブレーションを通すといい。音が途中で目減りせず届いているかが分かる。

自分の閾値の読み方

閾値が 128 kbps なら話は単純だ。荒い圧縮はつかめて、丁寧な圧縮はもうつかめない。閾値が 320 kbps なら、この機材では MP3 の上限すら聞き分けられている。

いちばん多い結果は別のほうだ。320 kbps は結局分けられなかった、というもの。これはファイルが物理的に同じだという証明ではない。ファイルは違うし、その差は測定に出る。証明されたのは、今日このセットアップとこの部屋では、その差がブラインドの検査を生き延びなかったということだけだ。

この結果からライブラリを消すべきという話は出てこない。FLAC は保管用として普通に残る。ロスレスだから将来どんなフォーマットにも変換できるし、容量はいま安い。変わるのはひとつだけ。再生の話を信仰の問題みたいに語るのをやめられる。

よくある質問

FLAC と MP3 の違いは聞こえる?

低いビットレートならたいてい聞こえる。320 kbps では聞こえないことが多い。特にワイヤレスのヘッドホン、移動中、ノートパソコンの内蔵サウンドだとそうなる。自分についての答えはブラインドの検査だけが出す。

オンラインの FLAC vs MP3 ブラインドテストは本気の話か

ストリーミングのビットレートについては本気の話だ。ファイル名は隠れていて、ラウドネスは EBU R128 でそろえてあり、両方のバージョンは同じマスターから作ってある。研究室だとは言っていないし、制限は全部 FAQ に並べてある。

自分の FLAC ファイルを上げる必要はある?

ない。テストは用意済みの断片のペアを鳴らす。こちらから必要なのは、耳、いつものヘッドホン、数分の静けさだけ。

MP3 はどのビットレートから透明と言えるのか

多くのリスナーでは境目が 256 から 320 kbps のあいだに来る。ただしこれは平均の絵で、あなたの結果ではない。閾値は音楽、機材、そして何に注意を向けるのを覚えたかで変わる。

ほとんど当てられなかったときは?

普通の結果で、恥ずかしいことではない。音の処理が全部切れているか確認して、ささやき以上の音量まで上げて、キャリブレーションを通す。邪魔しているのが聴力ではなく、入ったままの補正モードひとつ、ということもある。


もう音楽を聴いているその機材で FLAC vs MP3 のブラインドテストを通して、他人の意見の代わりに自分の数字を持ち帰ろう。